■生物
■04年度3学期学年末考査 生物
遺伝子表現法の基本はアルファベットである。 [ 優性 ] 遺伝子は大文字、
[ 劣性 ] 遺伝子は小文字で表記し、書く際にはアルファベット順、同一アルファベットのなかでは大文字が先になる。
AAやaaなどの、同一アルファベットで表記されるものは [ 純系 ] と呼ばれる。これは自家受精(受粉)しても[
注目形質 ] が変わることはない。異なる形質を持つ純系同士の交配によって生じた個体は
[ 雑種 ] と呼ばれる。個体にあらわれる形質は [ 表現 ] 型、個体の持つ遺伝子の構成は
[ 遺伝子 ] 型と呼ばれる。また、表現型において相対する形質を [ 対立形質
] という。
染色体は [ 細胞核 ] 内に存在し、 [ 遺伝子(DNA) ] と [ タンパク質 ]
からなる。体細胞中には同形同大の染色体が1対ずつ存在している。この1対の一方は父方、一方は母方に由来しており、
[ 相同染色体 ] と呼ばれる。配偶子中の染色体は、 [ 減数分裂 ] により半減している。
1組の対立形質だけに注目して作った雑種のことを [ 一遺伝子雑種 ] という。
純系の対立形質を交雑すると、優性形質のみが現れることを [ 優性の法則 ]
といい、この時現れる形質を[ 優性形質 ] 、現れない形質を [ 劣性形質 ] という。また、配偶子形成時に一対の遺伝子が分かれ、別々の配偶子にはいることを
[ 分離の法則 ] という。
AA、aaなどの同型接続体のことを [ ホモ ] 接合体、Aaなどの異型接合体のことを
[ ヘテロ ] 接合体という。遺伝子がわからない優性形質個体に [ 劣性 ] 遺伝子の
[ ホモ ] 接合体を交雑し、遺伝子型と生ずる配偶子比を調べることを [ 検定交雑
] という。また、生じたF1とPを交雑することを [ もどし交雑 ] という。
2対の対立遺伝子に着目して作った雑種のことを [ 遺伝子雑種 ] といい、表現型、遺伝子型も2種類を組み合わせたものとなる。また、2対の対立遺伝子が互いに独立して伝えられることを
[ 独立の法則 ] という。
対立遺伝子の優劣関係が弱いものを [ 不完全優性 ] という。マルバナアサガオの場合、R(赤)の遺伝子とr(白)の遺伝子の優劣関係が弱いために、RRとrrを交雑したRrは桃色となる。また、Rrはこの場合優劣中間の形質であり、
[ 中間雑種 ] と呼ばれる。また、この場合遺伝子型と表現型は一致する。
1形質に3つ以上の対立遺伝子が関係するような遺伝を [ 複対立遺伝 ] という。例としてはヒトの血液型の遺伝が挙げられる。この場合、遺伝子はA、B、Oに分かれ、
[ O ] に対して [ A ] 、 [ B ] は優性だが、 [ A ] と [ B ] には優性関係はない。
ホモ接合体になることによって [ 先天的代謝異常 ] が起きたり、 [ 発生 ]
が阻害されたりする遺伝子を[ 致死遺伝子 ] という。これは多数の生物で知られている。例えば、毛色が黄色の遺伝子Yと白色の遺伝子yでは、Yが劣性の致死作用を持つために生まれる黄色個体はすべてYyとなる。
2つの遺伝子が互いにその動きを捕捉しあって形質を表すものを [ 補足遺伝子
] という。例えばスイートピーには色素源を作る遺伝子、作らない遺伝子のC、cと、色素源から色素を作る遺伝子、作らない遺伝子のP、pがあり、CとPが同時に存在して初めて花が有色となる。
ある形質の働きを抑える遺伝子を [ 抑制遺伝子 ] という。
雌雄異体の生物の場合、性比は [ 1 ] : [ 1 ] である。これは、性に関する遺伝子の一方がホモ、一方がヘテロのためである。また、雌雄同体の生物や性転換するものは1:1で無いものが多い。
性決定に関与する染色体は [ 性染色体 ] と呼ばれる。また、雌雄に共通な染色体は
[ 常染色体 ] と呼ばれる。1組の常染色体をAと表すとすると、雌雄を決定するのは相同染色体の常染色体の一方のみであるから、ヒトの場合2n=46で、♂は
[ 2A+XY ] 、♀は [ 2A+XX ] となる。
X染色体にある遺伝子は、♂の場合劣性でも表れることになる。
遺伝子がそれぞれ独立している場合、配偶子にはそれぞれの遺伝子が入り [
独立の法則 ] が成り立つが、1染色体に2つ以上の遺伝子が共有している場合は両方ともが一緒に遺伝をする。これを[
遺伝子の連鎖 ] という。
ある遺伝子が連鎖していても、その連鎖以外の組み合わせが出現するときがある。これは、
[ 減数分裂 ] 時に染色体の部分的交換、 [ 乗換え ] といわれる現象が起きるからである。これによって一部の遺伝子が組み換えられることを、
[ 組換え ] という。
F1(ヘテロ)を検定交雑したときに生じるF2の表現型分離比は、 [ F1の配偶子 ] の分離比と同じになる。また、F2の表現型の比が1:1:1:1になるときは [ 独立の法則 ] が成り立っており、ならないときは
[ 連鎖 ] をしている。
遺伝子組み換えの起こる頻度のことを組換え比という。これは、
( [ 組換えの起こった配偶子の数 ] / [ 配偶子の総数 ] )×100
で求めることが出来る。
連鎖している遺伝子のグループのことを [ 連鎖群 ] という。また、 [ 連鎖群
] 数は配偶子中の [ 染色体数 ] と一致する。
モーガンは、キイロショウジョウバエを用いて、同一染色体上の3つの遺伝子の
[ 組換え価 ] から相対的位置を明らかにする方法、 [ 3点交雑 ] をおこなった。そしてこれによってわかった遺伝子の相対的位置を直線上に表し、[
染色体地図 ] を作成した。この地図では、連鎖する遺伝子同士の遺伝子距離が大きいほど組換えの起こる率が[
高 ] くなり、距離が小さいほど組換えの起こる率は [ 低 ] くなる。
双翅類のだ腺細胞に常時みられる [ だ腺染色体 ] は、普通の染色体の100〜200倍のサイズで、全長にわたり多数の横縞がある。また、他に比べ異常に膨らんだ部分は
[ パフ ] といい、ここでは [ RNA ] の転写が行われている。
・DNAの発見
遺伝子の本体は、核酸の一種である [ DNA(デオキシリボ核酸) ] である。
DNAは1869年、 [ メッヒャー ] によって発見された。彼は細胞からDNAを分離し
[ ヌクレイン ] と名付け、リン酸にとんだ性質について記述したが、生理的役割や機能については当時は不明のままだった。
・遺伝子とタンパク質(酵素)の関係を探る試み
1908年、 [ ガロード ] は [ フェリニケトン尿症 ] のような遺伝性代謝異常を
[ 酵素欠損症 ] と関連づけ、さらに遺伝学的な根拠を持つと信じた。
1909年には [ イェンセン ] が遺伝的形質の伝達に関与する物質を遺伝子と名付けた。
1941年、 [ ビードル&テータム ] はアカパンカビにX線を照射、突然変異を起こさせて様々な
[ 栄養的欠陥 ] のある系統、すなわち生育するために特定の [ 代謝物質 ] が必要となる種を作った。そして、突然異変種同士を交雑し、酵素欠損症が
[ メンデル遺伝 ] 学に基づくことを確認、遺伝子と酵素の間の関係を確立した。[
ビードル ] はまた、1951年に [ 一遺伝子一酵素 ] 説を提唱している。
・体細胞と配偶子におけるDNAの量的関係
1948、49年に、ミルスキーらは染色体の2倍体(2n)あたりのDNA量は生物の種により一定であり、それは[
精子細胞 ] にあるDNA量の2倍であることを示した。またこれは、他者の知見より「DNAは代謝的に安定物質で、染色体に多く含まれ、簡単に
[ 合成・分解 ] されず、細胞が [ 健全 ] ならばそこから離れない」という情報と合わせると、DNAが遺伝物質であることの暗示となる。
・DNAの機能、遺伝子の本体はDNAであることの証拠
1928年、 [ グリフィス ] は毒性のない系統の細胞由来の生細胞が、有毒で肺炎を引き起こす系統の細胞と混合されると
[ 形質転換 ] を起こすことを発見した。しかし、何によって形質転換が起こるのかまでは分からなかった。
その後の1944年、 [ エイブリー ] らは毒性のある細胞由来の死んだ最近細胞の代わりに、殺した細菌の抽出物質として精製されたDNAを使い、グリフィスと同様の結果を得た。これにより形質転換はDNAによって起こったものでありDNAが遺伝能力を持つと結論。遺伝とDNAの関係が明確となった。 1952年、
[ ハーシー&チェイス ] は [ バクテリオファージ ] が宿主の最近細胞に遺伝物質を注入することを知った。これにより、ウイルスの遺伝子もDNAであることが突きとめられた。
しかし、この時点ではまだDNAがどのような立体構造で、遺伝子物質の発現をするのか等は不明であった。
核酸は、ほとんどが [ 核 ] に存在し [ 二本鎖 ] 構造であるDNA(デオキシリボ核酸)と、
[ 核 ] ・[ 細胞質基質 ] に存在し [ 一本鎖 ] 構造であるRNA(リボ核酸)とに分類できる。また、核酸の基本単位を[
ヌクレオチド ] という。DNAの場合、ヌクレオチドは [ リン酸 ] 、 [ 糖(デオキシリボース)
] 、 [ 塩基 ] から構成されている。また、塩基はA( [ アデニン ] )、T(
[ チミン ] )、G( [ グアニン ] )、C( [ シトシン ] )、の四種類がある。
1949年、 [ シャルガフ ] はDNA中の4塩基の量的関係を調べ、 [ A ] ≒
[ T ] 、 [ G ] ≒ [ C ] という量的関係になることを発見した。これを [ シャルガフの法則
] という。
また、X線結晶学の研究者である [ ウィルキンス&フランクリン ] は、1952,53年にDNA結晶にX線を当て、構造を調べた。その結果、DNAが
[ 2重らせん ] 構造であることを明らかにした。また、この時繰り返し出てくる分子間距離の値、
[ 0,34nm ] 、 [ 2.0nm ] 、 [ 3.4nm ] があったが、これが表すのが何なのかは不明であった。
そして1953年、 [ ワトソン&クリック ] はDNA構造に関する入手可能な情報から、DNA分子構造を決定、ノーベル賞を受賞した。この分子構造モデルは
[ ワトソン・クリックモデル ] と呼ばれる。
これによると、 [ DNA分子幅 ] は2.0nm、 [ 塩基対 ] は0.34nmで、 [ らせん1回転
] の長さが3.4nmであった。また、 [ シャルガフの法則 ] よりAはT、GはCと結合することを明らかにし、2重らせんの構造を
[ 糖 ] 、[ リン酸 ] よりなる2本のらせん状鎖が [ 塩基 ] で結合した構造であるとした。一方の鎖のヌクレオチドは他方に対して逆向きであり、種ごとのDNAの違いは
[ 塩基配列 ] の違いであると定義した。ちなみにヒトの結合したヌクレオチドは約
[ 30億 ] で、遺伝子量は [ 35000 ] 程度である。
DNAが [ タンパク質(ヒストン) ] にまきつき、数段階の [ コイル状 ] 構造をへて凝集したものが、今日では染色体と呼ばれるものの正体である。
■04年度2学期期末考査
受容器とは、外界からの刺激を受け取り、興奮として脳に伝えるものである。これは敏感に興奮する
[ 感覚細胞 ] が集合してできている。
神経は、 [ 中枢 ] 神経系と [ 末梢 ] 神経系に分かれる。中枢神経系は [
脳 ] 、 [ 脊髄 ] などで、末梢神経系はさらに [ 感覚 ] 神経、 [ 運動 ] 神経などの
[ 体性 ] 神経と、 [ 交感 ] 神経、 [ 副交感 ] 神経などの [ 自律 ] 神経系に分けることができる。
効果器とは [ 筋肉 ] や [ 腺 ] のことで、 [ 中枢 ] 神経からの興奮で反応する。一般に、細胞が刺激を受けると細胞膜に
[ 電気 ] 的変化が発生し、活動状態になる。これを細胞が興奮するという。受容器で感覚細胞が受容できる刺激の種類を
[ 適刺激 ] という。例えば、眼は光が適刺激であり、光を受信することによって視覚として捉えることが出来るが、音や重力を関知することは出来ない。また、
[ 適刺激 ] によって感覚細胞が興奮するために必要な刺激の最小値を [ 閾値
] という。
光の刺激によって生ずる感覚を視覚という。光を感じるのは [ 視 ] 細胞である。これは特定の
[ 色素 ] を持ち、光で分解されることによって興奮を生じる。
視細胞には [ 錐体 ] 細胞と [ 桿体 ] 細胞がある。
[ 錐体 ] 細胞は主に明所で働く細胞であり、網膜中心付近の [ 黄斑 ] に多い。赤、青、緑色にそれぞれ反応し興奮する細胞があり、物体の
[ 色 ] や [ 形 ] をはっきりと感覚するが、弱光では働かないために、暗所で
[ 色 ] 識別が
できない。
[ 桿体 ] 細胞は網膜周辺に多く、 [ 弱光 ] に対して興奮する。また、 [ 色感覚
] には関与していない。
[ 盲斑 ] には視細胞は分布していない。
暗所から明所に移るとき、眩しいと感じてから徐々に正常になっていく。これを
[ 明順応 ] といい、眩しいと感じるのは[ 桿体 ] 細胞が過度に興奮しているためである。逆に明所から暗所に移るとき、はじめは何も見えないがしばらくすると見えるようになる。これを
[ 暗順応 ] という。しばらくすると見えるようになるのは、 [ 桿体 ] 細胞が徐々に機能しはじめ、次第に弱光を感じるためである。光量調節は
[ 虹彩 ] で行なわれる。
ヒトの眼の遠近調節は [ 水晶体 ] の厚さを変えることによって調節される。近くを見るときは毛様体が
[ 収縮 ] し、[ チン小体 ] がゆるむことによって水晶体が [ 厚く ] なり、遠くを見るときは毛様体が
[ 弛緩 ] してチン小体が[ 引っ張る ] ことによって水晶体が [ 薄く ] なる。
空気の振動による音波刺激によって起こる刺激を聴覚という。空気振動による音波は
[ 耳殻 ] → [ 外耳道 ] → [ 鼓膜 ] → [ 耳小骨 ] →( [ 卵円窓 ] )→内耳の
[ うずまき管 ]のリンパ液( [ 前庭階 ] → [ 鼓室階 ] )→うずまき管の [
基底部 ] → [ コルチ器聴 ] 細胞→ [ 聴神経 ] →大脳(聴覚)の順に伝わる。内耳リンパ液が振動すると、
[ 基底膜 ] も振動し、 [ 基底膜 ] 上の [ コルチ器おおい ] 膜に触れている[
感覚毛 ] が刺激され、聴細胞が興奮する。
重力、運動方向を受容して生じる感覚を平衡覚という。哺乳類の場合、内耳の
[ 前庭 ] と [ 半規管 ] がその役割を果たしている。重力方向とその変化は [
前庭 ] の感覚細胞と [ 耳石 ] のズレによって感じ、回転運動方向や速さは[
半規管基部 ] の感覚細胞の [ 感覚毛 ] が [ リンパ液 ] の流れを感知して感じる。嗅覚器は嗅細胞、味覚器は味細胞からそれぞれ出来ている。
生物神経は [ ニューロン ] が構造の基本単位である。 [ ニューロン ] は
[ 核 ] とその周辺の細胞体、 [ 軸索 ] 、[ 樹状突起 ] からなる。ニューロンは大きく分けると2つの種類に分けられる。
[ 無髄神経 ] 繊維は [ 髄鞘 ] が無く、[ 無脊椎 ] 動物の神経全般や、 [ 脊椎
] 動物の [ 交感 ] 神経がこれにあたる。 [ 有髄神経 ] 繊維は [ 髄鞘 ] があり、
[ 脊椎 ] 動物の多くの神経がこれにあたる。
神経繊維の末端の部分は [ シナプス ] と呼ばれる。ニューロン同士はわずかな距離をおいて接続しており、ニューロンからニューロンに興奮を伝達する役割を持っている。
静止状態の神経細胞は、軸索内の [ イオン交換ポンプ ] が [ 能動 ] 輸送によって
[ Na+ ] を細胞外へと排出しているため、細胞膜の内外でイオン分布に差がある状態になっている。この差は細胞の内と外で生ずる電位の差となり、外側の電位が高くなる(外+・内−)。この様に細胞の内外で一定の電位差が保たれている状態を
[ 静止電位 ] という。細胞膜が刺激を感じると、その部位にNa+が流入し、電位が逆転(外−・内+)、細胞が興奮する。細胞の興奮に伴って生じる電位を
[ 活動電位 ] という。一度興奮した細胞はしばらくすると元の状態に戻り、しばらくの間不活性化して[
絶対不能 ] 期になる。細胞の興奮は興奮部と隣接した両側に生じる電位差によって両隣へと伝達されていくが、一度興奮した細胞は不活性化しているために興奮が逆流することはない。そのため、興奮部位では興奮は両方向に伝達され、それ以外では一方向に進むのだ。
++++++ ++−+++ +−+−++
────────── ←細胞膜 ────────── ──────────
−−−−−− −−+−−− −+−+−−
軸索内部 → 興奮 → 興奮伝達
−−−−−− −−+−−− −+−+−−
────────── ────────── ──────────
++++++ ++−+++ +−+−++
不活性状態
有髄神経繊維は、絶縁体である髄鞘に包まれているが、髄鞘の切れ目である
[ ランビエ絞輪 ] を跳躍するように電流が流れるために電流の伝達速度が速く、
[ 100m/秒 ] ほどで電流を伝達する。無髄神経繊維は髄鞘がないため、[ 数m/秒
] と、伝達速度は遅い。活動電位は刺激の大きさが一定(閾値)以上に達しないと生じないが、閾値以上であれば刺激の大きさに関係なく活動電位は一定である。これを
[ 全か無か ] の法則という。
興奮が神経繊維末端のニューロンまで到達すると、ニューロンは内部にある
[ シナプス小胞 ] から[ ノルアドレナリン ] や[ アセチルコリン ] などの神経伝達物質を放出し、隣接するニューロンの
[ 樹状突起 ] や[ 細胞膜 ] を刺激して興奮を伝達する。
神経は [ 原生生物 ] 、 [ 海綿生物 ] 以外の動物全てに存在している。単細胞生物の群体タイプは個体=細胞がそれぞれに刺激を受けているのに対し、多細胞生物の場合は神経によって細胞をネットワーク化し、情報の共有、統合化がなされている。
[ 散在 ] 神経系とは、体全体に神経が網目状に分布している種類のことで、
[ ヒドラ ] や [ クラゲ ] などがこれにあたる。
[ かご型 ] 神経系は頭部に [ 神経節 ] という細胞体の集合したものがある種類で、
[ プラナリア ] などの[ へん形 ] 動物がこれにあたる。
[ はしご型 ] 神経系は体節毎に神経節が [ 1 ] 対ある種類で、 [ 環形 ]
動物や [ 節足 ] 動物に見られる。[ 軟体 ] 動物は体節がないため、体各部に神経節が存在する。
[ 管状 ] 神経系は [ 脳 ] 、 [ 脊髄 ] が中枢である。これらは発生過程で
[ 神経管 ] から分化したものである。[ 脊椎 ] 動物がこれにあたる。
脊髄の断面を見ると外側と内側とで異なる構成をしていることが分かる。外側は
[ 白質 ] と呼ばれ、 [ 神経繊維 ] の束で出来ている。内側は [ 灰白質 ] と呼ばれ、細胞体が多い。興奮が大脳に伝わり感覚を生じる前に筋肉に興奮が伝わることを
[ 反射 ] という。これは無意識的に行われ、反射が起きる際に興奮の伝わる経路のことを
[ 反射弓 ] という。 [ 屈筋 ] 反射や [ 膝蓋健 ] 反射などは脊髄反射の一種である。
大脳は左右半球があり、左右で働きが違う。大脳皮質は [ 灰白質 ] で出来ており、細胞体が多い。表面の新皮質は[
感覚 ] 中枢、[ 随意運動 ] 中枢、 [ 記憶 ] 、 [ 思考 ] 、 [ 理解 ] などを行う
[ 精神活動 ] 中枢を司っている。新皮質以外の旧皮質では [ 本能行動 ] を司っている。
内側は [ 大脳髄質 ] と呼ばれ、神経繊維が集合した [ 白質 ] からなる。
小脳は [ 運動 ] の調節や体の [ 平衡 ] を保つ機能を司っており、 [ 水中
] 、 [ 空中 ] で活動する動物の場合は、特に発達が激しい。
間脳は興奮を脊髄から大脳へと伝える [ 視床 ] 、 [ 自律神経 ] 中枢である
[ 視床下部 ] からなる。他にも[ 体温 ] 、[ 水分 ] 、 [ 血圧 ] の調節を行う中枢でもある。中脳は
[ 間脳 ] から [ 小脳 ] への連絡通路となっている。延髄は生命維持に直接関係し、
[ 呼吸 ] 、 [ 心臓脈拍 ] 、 [ 消化管活動 ] 、[消化液分泌 ] などを司る。間脳、中脳、延髄の3つは合わせて
[ 脳幹 ] と呼ばれる。
末梢神経系は、脳から出ている [ 12 ] 対の脳神経、脊髄から出ている [
31 ] 対の脊髄神経に分かれる。
■04年度2学期中間考査
動物の発生
発生:無性的に生じた芽、胞子などを出発点としてそれが成体に到達する過程…受精卵など
発生の段階
・成長…細胞分裂:発生初期の体細胞分裂→卵割、それによって生じる細胞割球
| ・割球は大きくならない→一般の体細胞分裂よりも速い分裂
|
↓
・細胞分裂…増加した細胞がだんだんと異なった細胞になっていく過程
| (新機能、化学的構造面でだんだんと特殊化される過程)
| ・分子→遺伝子の発現…異分子形成へ
| ┌─→一般的な多細胞動物細胞…不可逆的な変化(元には戻れない)
| ┤
| └─→高等植物細胞…可逆的な変化→完全再生(再分化)が可能
|
↓
・形態形成…構造として認識できる形が出現し発達する過程
(プログラムされた細胞死も含まれる→例:オタマジャクシのしっぽ)
卵の種類と卵割
・多細胞動物欄の名称
┌─→動物極…重力のかかる反対側で、極体の生じる側
卵 ┤ この極の半球側…動物半球
└─→植物極…動物極に対立する極
この極の半球側…植物半球
・卵の種類と卵割
卵の種類 | 卵割の様式 | 卵割の過程 | 動物の例 | |||
等 黄 卵 |
![]() |
全 割 |
等 割 |
8細胞期までは、ほぼ同じ大きさの割球が出来る | ![]() |
棘皮動物 原索動物 哺乳類 |
端 黄 卵 |
![]() |
不 等 割 |
動物極側と植物極側とで割球の大きさに違いを生ずる | ![]() |
環形動物 軟体動物 両生類 |
|
![]() |
部 分 割 |
盤 割 |
動物極の胚盤の部分だけで卵割が進む | ![]() |
魚類 爬虫類 鳥類 |
|
心 黄 卵 |
![]() |
表 割 |
分裂して増えた核が卵の表面に移動し、そこで卵割が進む | ![]() |
節足動物(甲虫類、 甲殻類) |
胚の発生
胚:動物では、卵割開始から発生期(独自に捕食を開始する)までの個体を指す
・カエルの発生過程
![]() |
受精卵: ・全体がゼリー状に包まれている 動物極側が黒い |
![]() |
2細胞期: ・動物極側から割れ目が入って、2つの細胞になる |
![]() |
8細胞期: ・不等割をする ・動物極側の割球の方が小さい |
![]() |
桑実胚: ・卵割腔がある @卵割腔 |
![]() |
胞胚: ・胞胚腔は動物極側に片寄っている A胞胚腔 |
![]() |
原腸胚初期: ・胚の赤道面と植物極の中間の部分で陥入が起こる B胞胚腔 C原口 |
![]() |
原腸胚中期: ・原口は半円形から円形になる D外胚葉 E中胚葉 F原腸 G原口背唇部 H原口 I内胚葉 |
![]() |
原腸胚後期: J卵黄栓 K外胚葉 L中胚葉 M原腸 N内胚葉 O卵黄栓 |
![]() |
神経胚前期: P神経板 Q脊索 R原腸 S表皮 |
![]() |
神経胚中期: @'神経溝 A'腸管 |
![]() |
神経胚後期: B'神経管 C'体節 D'側板 E'体腔 F'腸管 G'表皮 |
![]() |
尾芽胚: H'表皮 I'神経管 J'脊索 K'体節 L'腎節 M'側板 N'腸管 O'内胚葉 P'脳 Q'心臓 R'のど S'肝臓 |
発生のメカニズム
17〜18ct:前成説…「卵、精子中に個体があり、発生時に展開する」
18ct中期 :後成説…ウォルフが提唱
→ニワトリの卵を観察した結果、「均質な形態から様々な器官が出現する」
調節卵とモザイク卵
・調節卵…2細胞期に割球を分離→完全な胚となるもの
・それぞれの割球が発生調節を行える能力がある
・細胞分化、決定が比較的遅い
・ウニ、カエル、イモリなど
ウニの64細胞期にて、ウニの正常発生には植物半球の小割球が必要不可欠
→胚の発生には一定の割合の物質(小割球内の物質?)が必要?
・モザイク卵…分離割球からは不完全な胚しかできないもの
・細胞分化の決定がはやい
・クシクラゲ(有櫛動物門)、ツノガイなど
胚の原基分布図(予定域)
…胚の各部分が将来どのような原基を形成するかを示した図
原基…組織器官に分化する前の細胞集合体
フォークトの実験
・イモリ胞胚表面部分着色(局所生体染色)
→以後の発生で着色部が何に分化したのかを調べた
結果:胚の予定域(イモリ 原腸胚初期)
@表皮
A側板
B神経板
C脊索
D脊索前板
E体節
F原口
G内胚葉
形成体と誘導
シュペーマンの実験2…交換移植実験(スジイモリ、クシイモリを使用)
結果:イモリ胚の各部分の予定運命は、原腸胚後期から徐々に決定し、神経胚初期では変更できなくなる
シュペーマンの実験3…二次胚誘導実験
結果:
原腸胚初期に原口背唇を卵割腔内に移植
↓
移植場所予定運命に従わずに、脊索に分化
↓
脊索を基に神経胚、中胚葉、腸管などが形成
↓
二次胚が形成された
原口胚唇のように、周囲の細胞に働きかけ一定の方向に分化させる(誘導作用)もの
→形成体(=オーガナイザー)
誘導と連鎖
・眼の形成と連鎖
ニューコープの実験(1960ごろ)…中胚葉による誘導
・メキシコサンショウウオを使用
・胞胚中期の予定外胚葉、予定内胚葉を別々に取り出し培養
→それぞれが内胚葉性、外胚葉性組織に分化
・これを密着させて培養
→中胚葉性組織に分化
=予定内細胞が予定外胚葉を中胚葉性組織に誘導…中胚葉性誘導
(ただし、実際は桑実胚より始まっている)
@脊索
A筋肉
・動物体…連鎖的誘導により胚各部が分化し、組織、器官が形成されている
■2004年度1学期期末考査
細胞分裂…細胞は分裂によってのみ増殖
→遺伝的な特徴を維持
分裂の種類
・体細胞分裂:体を構成する細胞が増殖するための分裂
・減数分裂:配偶子を作るための分裂
染色体
・核内に存在し、主成分はDNA
・核内には父方と母方の染色体が存在→相同染色体という
・染色体数は生物種により一定
体細胞分裂の分裂過程
1.間期
・染色体の主成分であるDNAが複製され、倍化
・染色体はクロマチンになって核内に散在
2.前期
・散在していた染色体が凝集する
・中心体が星状体になる
・核膜が消失
3.中期
・赤道面に染色体が並ぶ
・紡錘糸が動原体に付着して紡錘体を形成
4.後期
・染色分体が両側に引っ張られる
5.終期
・2個の娘核が出来る
・細胞質分裂が始まる
植物細胞の場合
・中心体、星状体がない
・細胞板により内側から外側へと分裂する
減数分裂
配偶子の持つ染色体数をnとすると
精子:n=2
卵子:n=2
受精卵:2n=4
n=単相
2n=複相
すなわち減数分裂は単相の配偶子を作り出す分裂
減数分裂の意義
・2n→nにしないと染色体数が増え続けるため
・いろいろな配偶子の組み合わせができ、多様性がうまれる
減数分裂の分裂過程
前期で4本の配偶子からなる二価配偶子を形成
第2分裂まである
生殖と発生
生殖…生物個体が自己と同じ「種」の新しい個体を形成すること
無性生殖:体の一部がわかれて新個体を生ずる
A.分裂:1個体が2個体以上に分裂し、個体数が増加
・単細胞動物…ケイソウ、ゾウリムシ
・多細胞動物…イソギンチャク、ゴカイ
B.出芽:体の一部が成長、分離して新個体を生ずる
・単細胞生物…コウボ(菌)
・多細胞動物…ヒドラ
C.胞子生殖:親の体の一部に胞子形成、発芽し新個体を生ずる
・コウジ、カビ、キノコ、コケ、シダ
D.栄養生殖:植物の栄養器官(根、茎、葉)から新個体を生ずる
・サツマイモ(塊根)、ジャガイモ(塊茎)、オランダイチゴ(ほふく茎)、ベゴニア(葉)、ヤマイモ(むかご)
有性生殖:配偶子から新個体を生ずる
配偶子:合体、接合に関与する生殖細胞(精子、卵)
A.両性生殖:雌雄配偶子接合で接合子(受精卵)をつくり、それが新個体に。
接合:同型配偶子の接合…クラミドモナス、アオミドロ
異型配偶子の接合…ミル、アオサ
受精:異型配偶子の精子と卵細胞の場合…高等動植物
B.単為生殖:卵の単独発生で新個体…ミツバチなど
繁殖方法と遺伝的特徴
無性生殖 | 有性生殖 | |
繁殖 | 増殖能率高い | 増殖能率低い |
遺伝的形質 | 親と同じ=クローン | 両親の組み合わせで異なる |
環境変化に対する適応 | 一般に適応は低い (遺伝的多様性生じづらい) |
一般に適応する可能性高い (遺伝的多様性生じやすい) |
減数分裂
有性生殖と配偶子形成、受精
動物の配偶子形成と受精
・配偶子形成…精子の形成: ・ゴルジ体の内部に先体ができ、核の表面をおおう。
中心体の中心粒の1つから繊維ができ、尾部の中軸となる。
・核質が凝縮されて頭部を形成する。中片にはミトコンドリアが含まれる。
精子が形成される過程で細胞質の大部分は欠落する。
・受精…体外受精:体外で受精→精子由来
. 体内受精:体内で受精→卵子由来
. 受精卵:中心体→精子由来
ミトコンドリア→卵子由来
植物の配偶子形成と受精、発生
・被子植物の配偶子形成と受精:おしべ側 ・花粉母細胞(2n)
・花粉四分子の形成(n×4)→分裂
・花粉管細胞と雄原細胞が生じる
・雄原細胞は、しだいに花粉管細胞の細胞壁から離れていく
→花粉の完成
めしべ側 ・胚のう母細胞(2n)
→胚のう細胞(n)
・3回の核分裂を行って8個の核を持つ細胞となる
・8個の核が移動し、胚のうとなる
2つの受精が同時に起こる→重複受精
・被子植物の胚の発:胚…やがて新個体になる部分